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クミタフリアの禁忌

[クミタフリアノキンキ]

統一暦728年、クミタフリアで起きた事件。
クミタフリアの神官バフル・ビーロが民間人20名あまりの命を奪い、神魔法の一種と呼ばれる蘇生の魔法を実験した事件。蘇生の魔法は成功せずにバフルは上官であったクイット・スタルにその場で処刑される。

背景

神魔法の一種である蘇生魔法の存在は古くから語られていた。統一暦前古代王国の時代には当然のように用いられていたと考える者が多い。その根源にあるのは神話の時代に語られた永遠の生命だと考えられている。この事件が起こった当時でもその考えは一般的なものであった。
クミタフリアの神官であったバフルもその存在を信じていたひとりであった。ただし、神官としてはその存在は認めることは出来る立場ではなく、バフルも公的にその存在を認めていたわけではなかった。

ひとつの願い

事の発端はバフルの元を訪れたひとりの少女クー・カキエの願いだった。それは、クーの病気を患っていた母親が良くなるようにというものだった。純真な少女の願いに心打たれたバフルも共にクーの母親のために祈りを重ねた。その祈りのおかげかクーの母親は元気を取り戻した。喜ぶクーであったがここで悲劇が起こった。クーはお礼の意味を込めて再びバフルの元を訪ねたがその帰り道事故にあい命を落としてしまう。
その不条理さに深い悲しみを抱いたのはクーの母親だった。クーの母親は自分のせいでクーが死んだと嘆き、自分の命に代えてもクーを生き返らせたいとバフルに懇願した。
バフルもこの事態に嘆き悲しんでおり、その母親の願いをかなえてあげたいと蘇生の魔法を試みることになる。

事件の顛末

この当時の死生観として生命の損失は魔力の損失と等しいと考えられていた。そのため、バフルが試した方法は魔力の移植ともいえる魔法である。
神殿に秘宝として封じられていた無彩の杖を使い、クーの母親から魔力を吸い上げそれをクーに分け与えるというものであった。
魔力を吸い取るためにクーの母親の生命は危険にさらされるがバフルは自身の制御によってそれを防ぐことが可能であり、更にクーも蘇生することが可能だと考えた。
しかし、この方法は失敗をする。失敗によってバフルは錯乱し、その原因を魔力の絶対量の不足だと決め付けると無彩の杖を使い近隣の民間人20名の魔力を奪い、それと共にその命を奪ってしまう。しかし、それでもクーを蘇らすことは出来なかった。
その頃、異変に気がついたバフルの上官クイットはバフルの儀式を止めようとするが、バフルはそれに従うことはなく、逆にクイットの魔力までも奪おうと考えた。
仕方なく、クイットはバフルをその場で処刑し、その儀式を中断させた。
結果、クーは命を取り戻すことなくこの事件は終焉を迎えた。

ある言い伝え

この事件に関しては全くの別の言い伝えも残っている。
それによればクーの蘇生は本当は成功したのだが、それを認めない神殿の意向があったためにそのことを知った民間人と共にバフルは処刑されたというものである。
これは事件の後、クーの死体が無かったこと、後にクーの姿を目撃したものがいたことなどがその根拠とされている。
このことに関して、事件の当事者であったクイットは多くを語っていない。しかし、一度だけそのことを暗に認める言葉を残したとも言われている。それが影響したのか、数年後クイットはその姿を消しており、このことがまた噂を裏付けていると言われることになる。


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